Mari Kobayashi Exhibition 『Enfold』

このたびギャラリードゥポワソンでは一昨年に続き二度目となる小林茉莉の個展を開催いたします。

東京藝術大学大学院を修了後まもなく行なわれた前回の個展では、小林の修了制作でもあった作品シリーズ〈Traces of Individuality〉を発展させ、有機的な流木に、シルバーやプラチナ、七宝などを用いて繊細な装飾を施した一連の作品で鮮烈な印象を残しました。その時から一貫して、身の回りにあるものを“装飾する”ことで今まで見えてこなかった新たな価値を見出す、ということをコンセプトに制作に取り組んでいます。

Pattern Mesh Micro Bag no.1

本展では、〈enfold〉シリーズや新作のバッグ型作品など、パターンで包むことで装飾するものを中心に構成されています。

七宝を主な素材に用いた〈enfold〉シリーズは、アラベスク模様などの植物のオリジナルパターンでモチーフを包み「装飾する」というもの。有線七宝の技法を使い、純金・純プラチナの線や箔を使って繊細に描かれた模様は、全てを研ぎ出さず、霞がかった表現が印象的です。白い釉薬によってフォルムが抽象化されたようなリングやブローチ、オブジェクトなどが、上品で儚く、まるで現実には存在しないものかのように見えます。

Pattern Mesh Micro Bag no.2

一方、新作である〈Pattern Mesh Micro Bag〉は、18〜19世紀に貴婦人の間で流行したとされるジュエリー「シャトレーヌ」を現代版にアレンジするという発想から、持ち運びたい必要なもの・いつも眺めていたいものをパターンで包み装飾した、ラグジュアリーで美しい作品が生まれました。バッグの中身は、持ち主が好きなものを選ぶことができ、ジュエリーとして身につけることが可能になります。小さいものはベルトループに付けたり、バッグに付けたり、壁に飾ったり。チェーンが長いものは斜めがけにしたり、首からかけることができ、ブローチの代わりにすることも。

ユニークな発想を具現化するのは、小林独自の感性が光る緻密な手仕事。パターンのみで構成されたものは、シルバーの板に模様の彫りを入れ、模様の部分を残すように糸鋸で切り透かして作られています。鎖帷子のようなメッシュ状のものは、マルカンを繋いで面を作り、刺繍のように模様のパーツが施されました。

本展では、個展限定作品〈enfold 『mirror』〉を含む約40点の作品が発表されます。

静謐でありながら軽やかな華やかさも兼ね備え、新境地を切り開く小林茉莉の作品世界をぜひ会場にてご覧ください。


Mari Kobayashi Exhibition

『Enfold』

2025. 3. 22 sat. – 4. 6 sun. 12:00 ~ 18:00

月曜休廊 / Closed on Monday

会場 / Venue

gallery deux poissons

東京都渋谷区恵比寿2-3-6 1F

Tel. 03-5795-0451


作家在廊日 / The artist will be at the gallery on

3/22, 23, 29, 30, 4/5, 6

12:00 ~ 18:00

※在廊日時は変更する可能性がございますので、最新の情報はSNS、もしくはギャラリーに直接お問い合わせください。

※Dates and times when the artist will be present are subject to change, so please check our SNS or contact the gallery directly for updates.

※会期中一部の作品は、ONLINE SHOPからもご購入いただけます。
(販売開始予定日時: 3.26 wed. 12:00 – )


Mari Kobayashi / 小林 茉莉

1996年埼玉県生まれ。2020年東京藝術大学美術学部工芸科卒業。2022年東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻彫金分野修了。                                     

在学中より、平山郁夫賞(2018)、安宅賞(2019)を受賞、また、東京藝術大学卒業制作/大学美術館買い上げ賞(2020)、東京藝術大学修了制作/メトロ文化財団賞(2022)を受けるなど、その作品はすでに多方面で高く評価されている。

Exhibition Index