Hiroshi Imura Exhibition


ギャラリードゥポワソンではこのたび初となるジュエリー作家 井村裕司による個展を開催いたします。ジュエリー制作において約50年に渡るキャリアを持つ井村は、自身の作品制作と並行して長年教育の現場で多くの後進の育成にも携わっています。
1973年よりヒコみづのジュエリーカレッジで金工を学んだのち、彫金アトリエや製作会社での仕事を通してその後の基礎となる様々なことを学びました。自身の参考資料として道具やジュエリーなどをコレクションし始め、やがて指導する立場となり、技法や素材、歴史などへの知識を深めるために本や資料を積極的に集めて実践してきました。

井村はこれまで日々制作に向き合う中で、その折々に興味を持った形、素材、技法、思想などを実験、検証することを繰り返してきました。直線的なデザインから優美な曲線を持つジュエリーまで多様な作品のテーマの中心にあるのは「生命や祈り」。伝統的な金工技法を現代の感性で生かした独自の作品を生み出しています。

今回発表される作品の一つ、シルバーのブローチは刀剣金工のハバキや刀剣の中子などに刻まれた美しいヤスリの筋目に触発されて制作されたもの。ブローチのカーブは刀の反りをイメージしています。切削の道具であるヤスリを鑑賞の対象にまで高めた日本人の感性は驚きに値するもので、その感動を自身のジュエリーとして表現に落とし込んでいます。先人達の残したこのような美意識は工芸品や生活用品に残されており、その出会いを求めて活動していると井村は語ります。

また、鉄のソリッドな質感とゴールドの柔らかな輝きの対比が美しいミニマルなデザインのブローチなど、それぞれの貴金属の持つ固有の魅力を引き出す表現も特徴のひとつ。
主な素材の一つとして取り組んでいる鉄は、人類の歴史の中で重要な位置を占めているもの。鉄は砂鉄や鉱石を高温で精錬して作られていますが経年変化で錆びていきます。これは本来の安定した姿に戻ろうとする現象に他ならず、変化を受け入れ楽しむことが求められます。一方、金も魅力ある素材として古代より人類に寄り添い、歴史の重要な主役になってきた素材。その色や輝きは唯一無二のものです。井村は、これらの素材を単独または組み合わせて創作することに刺激と興味を見出し続けています。
鉄は造形後、表面に地肌を出すために研磨や酸処理を行ない、錆びつけ液を塗布してきめ細かい茶色の錆が出るまで待ち、お茶で煮ます。錆びはタンニンと反応して黒く色づき、最後に木蝋や漆を薄く塗り布で擦り完成します。このような細やかな段階をひとつひとつ経て、緻密な手仕事によって作られる作品は、静かでありながら力強さを内包する存在感を放ちます。


本展では、近作を中心にこれまでの主な作品と合わせて展示いたします。半世紀に渡る作品の変遷が見られる貴重な機会となります。どうぞ会場にてご高覧ください。
Hiroshi Imura Exhibition
2026. 6. 27 sat. – 7.12 sun. 12:00-18:00
月曜休廊 / Closed on Monday
会場 / Venue
gallery deux poissons
東京都渋谷区恵比寿2-3-6 1F
Tel. 03-5795-0451
オープニングレセプション / Opening Reception
6. 27 sat. 17:00 ~ 19:00
作家在廊日 / The designer will be at the gallery on
6月27日(土), 28日(日), 7月4日(土), 5日(日), 11日(土), 12日(日)
在廊日時は変更する可能性がございますので、最新の情報はSNS、もしくはギャラリーに直接お問い合わせください。
Dates and times when the artist will be present are subject to change, so please check our SNS or contact the gallery directly for updates.
※ 会期中一部の作品は、ONLINE SHOPからもご購入いただけます。
(販売開始予定日時:7/1 (wed) 12:00 – )
Hiroshi Imura | 井村 裕司
熊本県生まれ。1973年ヒコみづのジュエリーカレッジで金工を学ぶ。1975年より同校にて講師として勤務。1996年ワールド・ゴールド・カウンシル、トレンドブック製作に参加。同年、公益財団法人美術院制作の仁王尊像体納経用経筒制作。2012-13年JTOジュエリーデザインコンテスト審査員、2013年国際技能競技大会(ドイツ)エキスパートなど、多方面よりジュエリーに携わる活動を国内外にて展開。2000年以降の主な展覧会に、2001年「ミクロメガス展」Munich (GERMANY) / New York (USA)、2008年「新しい金工の美」石洞美術館、2010年「金属藝術の輝き」石洞美術館、2019年「WERKZEUGE DES HANDWERKS」Galerie Handwerk ミュンヘン(GERMANY) 他多数。パブリックコレクション:Crafts Museum (U.S.A.) 、Pinakothek der Moderne (GERMANY) 、
石洞美術館 (JAPAN)